モーツァルトの聴き始めは『フィガロの結婚』序曲とか、ジュピターや40番のシンフォニーだったはず。でも、気になる音楽家になる切っ掛けは、《パリ》交響曲でした。1970年にEMIでベルリン・フィルと録音したシリーズの時のことで、1975~77年にグラモフォンで同じくベルリン・フィルと、モーツァルトの交響曲全集を録音してもいます。当時は「まだ5年しかたっていないのに、また出すのか」、「ベームとウィーン・フィルへの対抗か」と騒がれたそうです。
カラヤンとベルリン・フィルのモーツァルトで、《ハフナー》、《リンツ》、《プラハ》、39番、40番と《ジュピター》は二種類あるが、引き締まったモーツァルトを聞きたいか、ゴージャスで華やかなサウンドを楽しみたいか。好みで選んで聞くのが良いが、名手の揃ったベルリン・フィルの木管楽器を楽しむにはEMI盤が勝る。優美に磨かれた、華麗なモーツァルト。1970年代前半絶頂期のカラヤン美学の徹底した演奏です。
音を聞いて指揮者が判るような個性的な指揮者が少なくなった昨今で、カラヤンの録音をよく聞くようになりました。カラヤン・ベルリンフィルの録音は星の数くらい沢山あるが、ベルリン・フィルの実力を最高に引き出しているという点では当盤も最右翼でしょう。
本録音はカラヤンの何時もの重厚感がたまらなくいいし、豪華絢爛なベルリン・フィルも健在。この録音時のベルリン・フィルは木管楽器にゴールウェイ、コッホ、ライスター、ピースクなど最高の名手達は既に去っていると思いますが、ベルリン・フィル伝統のアンサンブルは健在で他に得られない圧倒的なものです。ここでは弦楽器のゴツゴツしたドイツ的な響き。スケールの大きな中にも美しさがちりばめられ、この上なく心地の良い響き。ベルリン・フィルとカラヤンの見事なコラボレーションが生み出した、不朽不滅のモーツァルト後期交響曲集をここに聴くことができます。
いずれにせよ、円熟期にさしかかったカラヤンの気迫漲る圧倒的な名演であり、極めてスタイリッシュかつパワフルで録音も素晴らしく、オーディオ的観点からも胸のすく音の洪水。他のスタジオ録音からはなかなか聴くことのできない仕上がりとなっているのは、プロデューサーが、ミヒャエル・グロッツであるからでは。
録音場所はイエス・キリスト教会で、1970年9月に行なわれた。この時期、カラヤンとベルリン・フィルのコンビはEMIと、ドイツ・グラモフォンで旺盛に録音を行った。よく知られているように、ダーレム地区の騒音問題などもあって、カラヤンのベルリンでの録音拠点は、1973年からベルリン・フィルハーモニーに移りますが、このモーツァルト後期交響曲集と、ブルックナーの第4番&第7番、チャイコフスキーの後期交響曲集に関しては非常に短い期間で録音場所を違えて再録音をおこなっているのです。
1970年当時のカラヤンは、イエス・キリスト教会の豊かな響きを存分に生かした分厚く豊麗なサウンドを志向していましたが、5年後の録音場所は、ベルリン・フィルハーモニーに移って精悍なモーツァルトを聞かせている。単なる再録音ということになりますので、5年という短い期間にカラヤンの嗜好が変化したことを十分に窺わせます。こちらが一般的にはカラヤンのモーツァルトだろう。
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