クレンペラーとフィルハーモニア管弦楽団の録音は、1954年10月、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」からスタートしました。このとき、クレンペラーは69歳。最後のスタジオ録音は1971年9月で、奇しくも再びモーツァルトが演奏されました。曲はセレナードの第11番です。クレンペラーとフィルハーモニア管弦楽団の録音は、モーツァルトに始まり、モーツァルトで終わったのです。契約を実現させたのは EMI のプロデューサー、ウォルター・レッグでしたが、レッグは当初、クレンペラーではなく、ヤッシャ・ホーレンシュタインをフィルハーモニア管弦楽団に招きたいと考えていたそうです。
ところが、これが縁となってモーツァルトをライフワークのように取り組んだ、繰り返し聴いても、聴き返す度に何かを発見させる、この個性極まる名演は遺されたのです。感傷のかけらさえないのに見事な造型を示す40番、そして重厚なのに透明感もある構築的な「ジュピター」。録音時期こそ5年の開きがあるが、だからこそクレンペラーのモーツァルト解釈がはっきりわかる一枚だ。これだけ高いレベルの演奏なら、その価値を失うことは不朽だ。
フィルハーモニア管弦楽団は、ヴァイオリンを左と右に両翼配置で並べ、古典派が想定した通りの第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの掛け合いがくっきりと聞き取れる面白さに加えて、木管楽器群が音量バランス的に大き目に中央に浮かび上がり、音響的な明るさと明晰さをもたらしてくれるのはブラームスやベートーヴェンの録音と同じだ。しかし、金管とティンパニのコンビを鳴らし過ぎないので、フォルテでも威圧感が少なく、風通しの良い軽やかさが音響的にも達成されている。昨今主流のピリオド編成と比べれば巨大なオーケストラの響きながら、尚更音楽は雄弁なモーツァルト。両翼配置であることさえ聞いていると、どうでもよくなります。
そこで、わたしも偏愛気味に言い切りたい。モーツァルト最大の二大シンフォニーが、これだけ雄大に演奏されたことはありません。
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