モーツァルト演奏の第一人者として知られた巨匠ブルーノ・ワルター(1876〜1962)がコロンビアにおこなったセッション録音集。CBS 77603 でリリースされた7枚組から選ばれた、C.I.D.I.S. Louviers によるプレス。第1面が第1楽章と第3楽章、第2面が第2楽章と第4楽章となっている。リリースは1976年。
1950年台末にビバリーヒルズで半ば引退していた〝ワルターの芸術〟をステレオ録音で残すべく、コロンビア・マスターワークス社が立ち上げたプロジェクトにより残された歴史的名盤。ワルターのために集められた「コロンビア交響楽団」はロサンゼルス・フィルとハリウッドの音楽家たちの混成で、メンバー選考にもワルターが関わったと言われます。このシリーズで残された他の録音同様、分厚く豊かに響くロマンチックな演奏は、現代ではピリオド奏法も盛んになったモーツアルトだからこそ貴重な歴史的遺産と言えるでしょう。
1782年、「ハフナー」を作曲したモーツァルトであったが、これはセレナードを転用したものであった。ウィーン時代、交響曲として構想された最初のものはこの「リンツ」と言って良いだろう。「死とはモーツァルトが聴けなくなることだ」と答えたアインシュタインはケッヘルカタログの改訂を行ない、第3版で「本当の意味でのウィーン=シンフォニーの最初のもの」と解説している。ベートーヴェンに繋がる交響曲スタイルに発展しており、モーツァルトの後期の交響曲として一般的だ。アダージョの冒頭で気高い二重付点のリズムが鳴り響いた瞬間、聴き手はモーツァルト晩年の傑作がもつ音楽の世界に、たちまち入り込んでしまう。ウィーンの芸術上の自由、この都の傑出したオーケストラ奏者たちとの共同作業、ピアノ協奏曲や歌劇「後宮からの誘拐」で培ったオーケストレーションの経験、交響曲一般に対する真剣さを加えたアプローチが「リンツ交響曲」となって結実したことは明らかである。全楽章夫々非常に変化に富んでおり、リンツを好む指揮者が多いのも頷ける。
ブルーノ・ワルターはモーツァルトを得意としており、楽屋でモーツァルトの霊と交信していたという噂さえ伝説として残っているほどだ。生涯最後の録音も、モーツァルトのオペラ序曲集であった。晩年のコロンビア交響楽団とのステレオ録音では交響曲第36番「リンツ」、第40番、またニューヨーク・フィルとのモノラル録音では第35番「ハフナー」、第38番「プラハ」、第39番、第40番、第41番「ジュピター」などが名演奏として知られている。また、戦前のウィーン・フィルとの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』などの録音や、1952年のウィーン・フィルとの交響曲第40番のライヴ録音、ザルツブルク音楽祭での交響曲第25番、『レクイエム』のライヴ録音などは今でも名演奏と称えられている。オペラでは、メトロポリタン歌劇場での『ドン・ジョヴァンニ』、『魔笛』等が知られている。20世紀後半にモーツァルトの権威とされたカール・ベームも、「バイエルン歌劇場音楽監督であったワルターが私を第4指揮者として招聘し、彼がモーツァルトのすばらしさを教えてくれたからこそ、モーツァルトに開眼できた」と告白している。
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