The Beloved Mezzo(愛しい最愛のメゾ)と称されたジャネット・ベイカーは、ボールトやバルビローリ、クレンペラーといった巨匠たちから信頼されていたイギリスのメゾ・ソプラノ歌手。1956年にキャスリーン・フェリアー賞を受け、ザルツブルクのモーツァルテウムに留学、1959年にロンドンの王立音楽アカデミーで女王賞を授与され、1960年に歌手としての本格的な活動を開始、ロンドンやエディンバラのリサイタルで成功を収め、1962年にはクレンペラー指揮するマーラーの『復活』で評判となり、1966年からはロイヤル・オペラやグラインドボーンでのオペラの舞台でも活躍するようになります。
ベイカーの声は、キャリアの最初は低音寄りで、次第に高域が充実するという変化を見せましたが、解釈は常に緻密・正確で、声のコントロールにも秀でており、オーケストラ付き大作などでの高度な表現力には定評がありました。それがリートとなると、肌理細やかなニュアンスを施したベイカーの歌唱も素晴しいが、ムーアが発するピアノ演奏に柔らかく包まれた、叙情的な雰囲気はイギリス的じゃないか。
ドイツ語のリート、フランス語のシャンソン。そして英語で歌われる自国の歌曲はまさに彼女の得意中の得意というところで、バックス、サリヴァン、フィンジ、パリー、RVW、アイアランド、クィルターの素敵な曲がちょっとづつ聴ける。どの国の曲も完成度が高い歌唱だが、しみじみと語りかけるようなリヒャルト・シュトラウスが聴きものだ。ジャネット・ベイカーっていうと、マーラー好き、またはエルガーなどの英国ものの愛聴者には、指揮者バルビローリとの共演で聴き馴染んでいるだろうが、何を歌わせても何でも器用にこなすが、器用なだけでなく知性的ですべての曲において深い感銘を残す。メゾ・ソプラノよりもアルトの深い声がなんとも魅力的。
音楽に詳しい男性から、さり気なくこのレコードなどを薦め、聴かされたら、くらっときちゃう。通常ソプラノで歌われている曲と比較しますと、音域が下がった分、華やかさや透明感は失われますが、その変わり陰影が深くなり、より訴えかける力が強くなっている。オーケストラ伴奏の歌曲ではそれが生きるが、彼女のスケールの大きな歌い上げ方はピアノ伴奏の歌曲を歌うときは、アルトからメゾに音域を上げた分、持ち前の声の張りがやわらぎ。シューベルトのリートも窮屈そうに歌ってるようにみえて、なかなか魅力が余す所無く伝わって来ない。そこが狙いだろうし、ジャネット・ベイカーの異なる一面を十分に魅力的に堪能出来る一枚となってます。
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